百貨店バイヤーズ賞
-19回受賞-
繊研新聞社主催、百貨店のバイヤーからの推薦が多かったブランドに授与される「百貨店バイヤーズ賞」。キプリスは2003年〜2019年度、2022年〜2023年度連続受賞、トータル19回受賞しています。
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牛が育つ牧場、革をつくるタンナー、革の加工工場、さらに革小物を作る革工房まで、皮から革製品がどのような流れでつくられていくのか、一連の流れを紹介していきます。どのようにして革製品が作られ、手元にとどけられるのか、モノづくりの現場に密着し、そのこだわりを探りました。
皮からどのように革が作られ、その革からどうやって革小物が作られているのでしょうか?
今回は牛革ができる工程と、その革を使った革小物づくりの現場を紹介します。良質な革や革小物がどのようにして生まれるのか、その秘訣に迫ります。
普段なかなか見られない、モノづくりの現場は驚きの連続です。それでは、「皮から革へ」、そして、「革からモノへ」の旅に出かけてみましょう。
牧場で育てられた牛を肉にするとき、その副産物として皮がとれます。この革の原料を「原皮」と呼びます。広々とした場所で、ゆったりと育てられた牛の原皮は、傷が少なく、良質な革になります。
ヨーロッパで育った牛の原皮が上質とされますが、アメリカやオーストラリアなどの牛肉の生産量が高い国が、原皮の生産量も高くなります。日本の原皮も数は少ないですが流通しています。今回は、日本の原皮の流れを追っていきます。
塩漬けにされた原皮は、タンナーに運ばれます。タンナーとは、動物の皮を、くさることのない革に変えるところ。この工程を「なめし」と呼びます。
タンナーでは、ドラムという機械を使って、「なめし」を行います。きれいに洗い下処理を済ませた原皮をドラムに入れて、水と一緒にさまざまな薬剤を加えて回転させます。このようにして、原皮に薬をしみこませて腐らないようにします。
今回は、薬品を使って行うクロムなめしという方法。早くなめすことができ、劣化しにくい革ができあがります。現在生産される革の多くが、この方法で作られているのです。白くて、うっすらと青みがかっているのが、クロムなめしの特徴です。
次に、染色用のドラムで、革に色をつけていきます。革と水、染料を入れて、再び回転させます。色の染み込み具合は、革ごとに微妙に異なるため、時間、染料の量など、職人によって微妙な調整が行われます。
色を付けた革は数日間干し、水気をとり、色を定着させます。その後、革の裏側をけずって厚みを調整する「革漉き(かわすき)」の作業を経て、出荷されます。
革は、なめしが行われた後、製品の特性によって、さらに加工を加えることがあります。
たとえば、「すごく柔らかい革がいい」「とにかく薄い革を使いたい」「すべて同じカラーにしたい」というリクエストがあった場合、加工工場で「再なめし」や「染色」を行います。
革のなめしを「素材づくり」とするなら、革加工は「料理」に似ているかもしれません。素材と料理の両方が優れていて、はじめて良い革ができるのです。
商品を作るときに、同じ色にする必要がある場合は、もう一度、染色を行います。今度はドラムではなく、スプレーによって染料を革の上から吹きかけていきます。(仕上げによって染色方法も異なります。)
1枚1枚、色の付き方が変わる革を、同じ色に仕上げていくのは、職人の技術と感性が試されます。
加工工場では、表面に加工を施したり、型押しをしたり、オーダーに応じてさまざまな加工を施します。
革の裏側をけずることで厚さを調整する革漉き(かわすき)のプロの中には、新聞紙(厚さ0.05㎜ほど)の紙をさらに2つに漉いて、2枚の極薄の紙にしてしまえるほどの技術を持つ人もいます。
そのような卓越した技術を持った職人たちによって、日本の革づくりの現場は支えられています。
いよいよ革が、革工房に到着。今回は、長財布の製造工程に密着しました。
この革は、国産の原皮を使用し、先ほどのタンナーと加工工場で作られたもの。
生後3カ月の仔牛から作られたカーフは、成牛の革(ステアハイド)の大きさの3分の1ほどしかなく、傷が少なく、きめ細かい高価な革素材です。
それぞれの革小物には型紙があります。それを革の上に置いて、革包丁を使ってカットしていきます。
切り出したパーツにさまざまに手を加えます。外側に来る革のパーツの端の部分を、革漉き機で薄くそいでいきます。これは後ほど、革財布のパーツを組み合わせるときのための準備工程です。
革財布の外側のパーツと、財布の内側のパーツ(札入れや、カード入れ)を、それぞれ革専用の水のりや縫製によって組み立てていきます。
最初に作った財布の外側のパーツに、財布の内側のパーツを、水のりで張り付け、裏側の一部にミシンで縫いつけます。
へりの部分に、はみ出さないようにのりを塗っていきます。そして、へりの部分を折り返して、貼り付けていきます。これは、へり返しと呼ばれる作業です。
キプリスの財布の中には、角の部分に菊寄せという処理をほどこしたものもあります。これは使い勝手に影響するものではありませんが、見た目の美しさを感じられるこだわりです。9本のきざみがきれいに並んだ状態が理想の形とされる、かなりの技術が求められる手法です。
男性向けの革小物には、ネン引きという工程もよく入ります。これは熱をいれた器具で、財布の端の縁をなぞる作業で、うっすらラインをつけて引き締まった表情にしていきます。
このようにして、さまざまな工程を経て、「皮から革」「革からモノ」が作られていきます。売り場に並んでいる革小物は、このようなストーリーをたどっているのです。
その根源には生命があり、その工程には多くの人の想いやこだわりが込めれています。そして、そんな革小物を購入した人とともに、新たな物語が紡がれていくのです。
ものづくりについてのお話しや、
革についてちょっと詳しくなれるお話しをお伝えしていきます。
繊研新聞社主催、百貨店のバイヤーからの推薦が多かったブランドに授与される「百貨店バイヤーズ賞」。キプリスは2003年〜2019年度、2022年〜2023年度連続受賞、トータル19回受賞しています。